イントロダクション

東憲司と朴璐美が互いの枠を飛び越え

青年座・山路和弘

文学座・石橋徹郎を迎え

アリエル・ドーフマン作

『死と乙女』に挑む!


日本の演劇シーンの中で異才を放つ東憲司

ジャンルに囚われず活動し続ける朴璐美


二人は互いのホームで

これまで三度のタッグを組んできた。


その二人がホームから飛び出し

第4作目に挑むのは

東憲司、欧米戯曲初挑戦となる

ローレンスオリビエ賞最優秀戯曲賞

トニー賞主演女優賞(グレン・クローズ)受賞作

アリエル・ドーフマン作『死と乙女』。


力量が求められるこの作品に

第59回毎日芸術賞を受賞した

青年座・山路和弘

自主企画などを手がけ高い評価を得る

文学座・石橋徹郎を迎える。


猥雑な群像劇を得意とする東憲司が

3人の演者の緊迫した台詞の応酬から成る

密室劇の様相を帯びた心理サスペンス劇を

濃密な劇場空間に解き放つ。


東憲司×石橋徹郎×朴璐美×山路和弘


誰の言っていることが真実で

誰が嘘をついているのか

いや、

もしかしたら

すべてが嘘なのか?


二転三転する展開が

舞台から目を離すことを許さない。


シューベルトの「死と乙女」の調べに乗せ

傑作の心理サスペンスがここに奏でられる。


戦うべき敵は自分たちの「無関心」である

―――アリエル・ドーフマン

あらすじ

独裁政権が崩壊し、

新政府が正常を取り繕っている某国。


ポリーナ(朴璐美)は、かつて学生運動に加わり、治安警察により誘拐・監禁され、

その時の事がトラウマとなり過去から脱却出来ずにいる。


新政府よりキャリアを約束されようとしているポリーナの夫・ジェラルド(石橋徹郎)でさえ、

妻の汚された肉体と精神を癒すことが出来ない……


ある夜、

車がパンクし立ち往生していたジェラルドは、

通りがかりの一人の医師・ロベルト(山路和弘)に助けられ、彼を家に招きいれる。

ポリーナはロベルトの声に戦慄した。


その声こそ、

シューベルトの弦楽四重奏曲『死と乙女』をかけながら何度も拷問・恥辱した男の声だと……

ポリーナの復讐心が燃え上がる。


――あなた、あの男をレイプして――


忌まわしい過去を自ら裁こうとするポリーナ、

自身ではないと身の潔白を主張するロベルト、

妻の思い込みだと暴走を諌めようとするジェラルド。


銃口を向ける妻は正気なのか。

過去を明かす医師の言葉は本当なのか。


食い違う3人の主張。

何が真実で、何が嘘なのか。

駆け引きの果てに見えるそれぞれの正義とは。


シューベルトの『死と乙女』の調べに乗せ、

過去との闘いが始まる。


どうしたら、

虐げた者と、虐げられた者が共存できるだろうか?

どうしたら、

嘘が習慣の国で、真実に到達できるだろうか?

どうしたら、

真実を犠牲にせず、安らぐことが出来るだろうか?

--------アリエル・ドーフマン